ここでは、簡易的な「ストップウォッチ」アプリケーションを作成します。 単純なアプリケーションですが、MacRuby でアプリケーションを作成するうえで不可欠な内容となっています。
アプリケーションは以下の図のようなデザインで、「StopWatch」というプロジェクトとします。
「start ボタンがクリックされるとタイマーが動き出し、stop ボタンがクリックされるとタイマーを停止します。Text Field には何秒間タイマーが動いていたかを表示する」というアプリケーションです。
UI 部品を配置する
それでは、さっそく UI 部品を配置してみましょう。Xcode で MainMenu.xib ファイルを選択して、UI デザインを変更していきます。
次に [Window - StopWatch] を選択して、UI 部品を配置する Window を表示します。
以下の図のように、ツールバーのアイコンをクリックすると Object Library が表示されます。
ようやく UI 部品を配置するための準備が整いました。
それでは、タイマーの値を表示するための Text Field と、タイマーの開始と停止のための Button を Object Library から Window へドラッグ & ドロップして配置します。
アウトレットを接続する
「ストップウォッチ」アプリケーションではタイマーの値を Text Field へ設定しますが、Text Field を Window に配置しただけでは値を設定することができません。UI 部品の状態や値を設定するための仕組みとしてアウトレットがあります。
アウトレットを使用するために、プログラムへ記述が必要となります。AppDelegate.rb を選択して以下のように attr_accessor :textField
を AppDelegate クラスに追加します。
1 2 3 |
|
このように attr_accessor
で用意したアクセサをアウトレットとして使用することができます。
MainMenu.xib の画面に戻り、アウトレットを接続します。control キーを押しながら、App Delegate から Text Field へドラッグします。
アウトレットの一覧が表示されるので、先ほど追加した textField
を選択して接続します。
これで、プログラムからアクセサ textField
を通して Text Field の値を取得設定できるようになります。
アクションを接続する
まだ、start ボタンと stop ボタンをクリックしても何も起こりません。ボタンがクリックされた時の振る舞いを設定してあげる必要があります。振る舞いを設定する仕組みとしてアクションがあります。
AppDelegate.rb を選択して以下のように startTimer
と stopTimer
を追加します。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
|
MainMenu.xib の画面に戻り、アクションを接続します。control キーを押しながら、start ボタンから App Delegate へドラッグします。
アクションの一覧が表示されるので、先ほど追加した startTimer
を選択して接続します。
同じように stop ボタンと stopTimer
を接続します。これで、ボタンがクリックされた時にそれぞれのメソッドが呼び出されるようになります。
ボタンがクリックされた時に呼び出される startTimer
と stopTimer
はアクションメソッドとも呼ばれます。
タイマーを使う
一定間隔ごとに何か処理を行う場合には、NSTimer を使用します。
以下のようにタイマーをすると、一定間隔ごとに処理することができます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
|
引数 | 内容 |
---|---|
タイマーを発生させる間隔(上の例では0.1秒) | |
target | タイマー発生時に呼び出すメソッドが存在するターゲット |
selector | タイマー発生時に呼び出すメソッド |
userInfo | メソッドに渡すデータ |
repeats | タイマーの実行を繰り返すかどうか (true:繰り返す, false:1度のみ) |
"timerHandler:"
のようにコロンがついたりします。引数がない場合には "timerHandler"
です。 上記の例で使用しているメソッドの場合には "scheduledTimerWithTimeInterval:target:selector:userInfo:repeats:"
となります。Objective-C 由来の書き方でわかりにくいのですが、リファレンスを読む場合にも度々でてくるので、selector の書き方はマスターしてください。
タイマーを停止するには、invalidate
メソッドを使用します。
1
|
|
それではアクションメソッドの startTimer
でタイマーを生成し、stopTimer
で停止するようにしましょう。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 |
|
timerHandler
で Text Field に経過秒数を設定しています。setStringValue
メソッドを使用すると、Text Field に文字列を設定できます。
これで「ストップウォッチ」アプリケーションが完成です。完成したアプリケーションを実行してみましょう。[Scheme] で「Deployment」からプロジェクト名のスキームに変更してツールバーの [Run] ボタンをクリックすると、アプリケーションが起動します。